「無心」で作る作品に付いて3

水のあとに

その時は
7日間というギリギリの製作日程。

しかも
後半3日は教室。


前回の記事
で製作には時間がかかるのだ
などと言っておいて
なんだが

つまり
ほとんど3日で仕上げないとならない状態。

当時
作業場は生徒さんと共用していたため
教室のある日に私が作業する場合
教室の終わった
夜の9時~深夜眠くなるまで。

まぁ、深夜2時とかがいいところか。

デザインのラフを
その時点で最良のものを準備し
製作に入る。

初日、大判の方眼紙4枚に
図面を起してバランスを調整。

これだけで夜中までかかる。

翌日、
ガラスを切り作業を進めている間に
深夜の作業になってゆく。

ここまでは
確かに、いつも通りだった。

そして初めて
スイッチの入った瞬間を体験した。

自分の身体が
自分の身体ではないような
何とも言えない変な感覚。

それまで

『カッコよく見える』線のラインを探ったり
ガラスの色に『こだわってみた』り
「限られた時間の中で
作れる物を作らなければならない」とか

はたまた
作っている自分の姿に酔ってみるとか

そして
作業をしていた。

しかしその瞬間から

そう言うのが
一瞬にして消えて無くなった。

それを
『集中』したと言うのとはどうも、違う瞬間。

【空っぽ】になったと言うのが適切で

どんどん作業が進むのだ。

深夜にもかかわらず
どんどん冴えてゆき
身体は自分の力が抜ける。

空気感が
ピンと張りつめ心地いい。

そして

今までのデザインが
突然
カッコ悪見え
迷うことなくどんどん修正して行く。

これを
「ひらめく」とか言うには
なんとも言い難い。

ひらめくなら
作業を始める前にひらめけよ
ってな具合。

修正などしている時間は
どこにもないのだが
カッコ悪く見えた物は仕方がない。

後先考えず
身体は勝手に
ガンガン修正していく。

修正しているデザインが期日までに
出来上がる保証もない。

この時点で
理性を手放しているのだ。

理性があったら
迷わず
出来上がっているデザインを確実に完成させ
次のアイディアは次回使う。

「カッコイイ」と思えるものを作るのが私。

その時点で
「カッコイイ」と思えたら
制作は止まらなくなる。

だから

その時は【本能】に従って
製作に夢中になった。

気持ちよかった。

仕事の進みが良く
後半は徹夜の影響もあって
もうろうとしながらも
身体は軽いのだ。

頭の中は空っぽ

そして

ただ身体だけが
自分の意志を無くして動く。

いや、

作っているのは私なのだから
意志は確かにあるはずなのだが
そんな事さえ
頭の中には無い。

ただただ作業に没頭。

そして完成した作品を前にして
意識が現実に戻った時

【これは本当に自分が作ったのだろうか?】

これが
その時の率直な感想だった。

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